オール電化住宅のリフォームの費用相場や補助金・助成金制度を解説
今の家をより快適にするために、オール電化住宅にリフォームすることを考えている方もいるかもしれません。
そこで、本記事ではオール電化住宅で採用される設備や、リフォームする際の費用相場、オール電化住宅へのリフォームで使える補助金制度などを解説しています。
オール電化住宅へのリフォームを計画している方は、ぜひ参考にしてみてください。
オール電化住宅とは
オール電化住宅とは、石油やガスを使わずに自宅にある全ての設備の熱源を電気に切り替えた住宅のことです。
年々オール電化住宅の家は増えており、新築住宅では3件に1件の割合でオール電化住宅が採用されています。
中古住宅やマンションでもオール電化住宅へリフォームしているご家庭も増えており、これからも注目が高まっていくと思われます。
オール電化住宅で採用される設備とそれぞれの費用相場
オール電化住宅で採用される設備とそれぞれの費用相場について解説していきます。
オール電化住宅では、以下のような設備がよく採用され、新築住宅やリフォームで導入する人が増えています。
- ・IHクッキングヒーター
- ・エコキュート・電気温水器
- ・床暖房
- ・太陽光発電
- ・蓄電池
- ・V2H
それぞれの設備についてと、リフォームした場合にかかる費用相場をみていきましょう。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターは、火を使わずに加熱調理ができるキッチン設備です。
スイッチを入れると、IHクッキングヒーターに内蔵されているコイルに電流が流れて、鍋やフライパンの底を発熱させる仕組みになっています。
ガスコンロの場合、五徳に鍋やフライパンを乗せて加熱しますが、IHクッキングヒーターには五徳は使われないので、掃除がしやすいというメリットがあります。
また、火災の心配も少なく、消し忘れた時に一定時間を過ぎると勝手に電源がオフになる安全機能がついたものもあります。
ガスコンロからIHクッキングヒーターに交換する場合、本体価格と配線機器・ブレーカー費用、配線工事費、既存のガス設備の撤去費用、IHクッキングヒーターの設置費用がかかります。
IHクッキングヒーター本体の価格にもよりますが、費用相場は大体15〜30万円程度です。
エコキュート・電気温水器
エコキュートと電気温水器は、どちらも電気でお湯を沸かす設備のことです。
エコキュートは、ヒートポンプという技術で熱を集め、貯湯タンクにお湯をためて使用する電気給湯器です。
電気料金の安い深夜帯にお湯を沸かしてタンクにためて、日中にタンクからお湯を出して使うため、電気代を安く抑えられるメリットがあります。
また、タンクにお湯をためておけるので、災害時の生活用水としても仕様ができます。
電気温水器は、タンク内に設置された電気ヒーターが熱くなってお湯を沸かしてためておく設備のことです。
電気温水器の方が価格が安いですが、エコキュートの方が大幅に電気代を安くできるという違いがあります。
ただ、エコキュートの設備であるヒートポンプと貯湯タンクはサイズが大きく、十分な設置スペースを取る必要があります。
電気温水器の方が小型のため、マンションなど設置場所が限られている住宅には電気温水器の方が向いていることもあるようです。
ガス給湯器からエコキュート・電気温水器にリフォームした場合の費用相場は以下のようになります。
・エコキュート 約50〜80万円程度
- ・電気温水器 約30〜50万円程度
それぞれ、エコキュート・電気温水器本体と、工事費用、漏電ブレーカーなどの費用が含まれています。
床暖房
床暖房は、電気を使って床を温める暖房設備のことです。
温め方には以下のような種類があります。
・床材の下に張り巡らせたパイプ内にお湯を循環させる温水式
- ・内蔵された蓄熱ブロックを深夜電力で温めておく蓄熱式 など
温水式は、床の温度で温度調節できるので部屋全体を温めたい方におすすめです。蓄熱式は夜間に蓄熱材を温めて昼間に使用できるので、電気代を安く抑えることができます。
床暖房を導入する場合、本体設備とフローリング材、床の断熱材や工事費がかかってくるので、費用相場は施工面積別に以下のようになります。
・6畳 蓄熱式の場合は約30〜55万円、温水式の場合は約35〜65万円
・8畳 蓄熱式の場合は約32〜70万円、温水式の場合は約40〜100万円
・12畳 蓄熱式の場合は約50〜85万円、温水式の場合は約65〜110万円
・20畳 蓄熱式の場合は約70〜110万円、温水式の場合は約75〜160万円
施工面積や、蓄熱式・温水式のどちらかを選ぶなどによって費用が大きく変わってきます。
太陽光発電
太陽光発電システムは、太陽の光を太陽光パネルで集めて、自宅の電気として利用するためのシステムです。
昼間の電気を自家発電によって賄えるようになるため、電気代を大幅に節約することができます。また、自宅で使用しなかった余剰電力は電力会社に売電することもできるので、ちょっとしたお小遣いを得ることも可能です。
太陽光発電の設置は、他のオール電化の設備よりも高めで、費用相場は大体100〜300万円程度かかってきます。
設置する太陽光パネルの枚数やパワーコンディショナーの数、足場の設置が必要になるかどうかでも価格帯が変わってきます。
蓄電池
蓄電池は、太陽光発電で作られた電気を蓄えておける設備です。
日中使わなかった電気があれば、蓄電池にためて夜間に使うことができます。
うまく蓄電池と太陽光発電を利用することで、自宅で使う電気のほとんどを自家発電で賄えます。また、停電時に蓄えていた電気を使えるため、数日間は電気のある生活を送ることも可能です。
費用相場は約100〜200万円程度になります。
V2H
V2Hとは、電気自動車に搭載されているバッテリーで蓄えた電気を家庭で使えるシステムのことです。
太陽光発電とともに設置すれば、日中は太陽光発電によって発電した電気を電気自動車に蓄えて、その電気を夜間に住宅で使うことができます。
費用相場は、大体90〜150万円程度です。
蓄電容量や配線状況などによって費用が変わってきます。
また、電力会社系列の会社では定額制のサービスもあるため、V2Hを導入予定の方は調べてみましょう。
オール電化住宅リフォームで補助金・助成金制度は使えるの?
オール電化住宅のリフォームでは、リフォーム工事の内容によっては補助金や助成金制度を利用することができます。
ここでは、子育てエコホーム・給湯省エネ2024事業・自治体の補助金について解説しています。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯が高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修をする際に対して補助金による支援を行っている事業です。
2050年のカーボンニュートラルな社会を目指すために行われており、リフォームでは最大で60万円の補助金を受け取ることもできます。
ただし、補助金を受け取るためには該当するリフォーム工事をしなければなりません。
オール電化住宅リフォームをする場合、子育てエコホームの「エコ住宅設備の設置」に該当する可能性があり、5万円の補助金が受け取れる可能性があります。
なお、太陽光発電設備の設置工事は対象にはなりません。
また、より多くの補助金を受け取るためには、既存住宅の購入とリフォームをしたり、長期優良住宅の認定を受けられるような住宅改修をしたりしなければなりません。
様々な条件があるため、自分たちが行う予定のリフォーム工事が子育てエコホームの条件を満たすかどうかはホームページの閲覧や問い合わせで確認しましょう。
給湯省エネ2024事業
給湯省エネ2024事業は、エコキュートなどの高効率給湯器の導入の支援を行う補助金制度のことです。
エコキュートを導入することで8万円の補助金を受け取ることができます。
また、エコキュートを導入する場合、以下のどちらかの要件を満たす設備であれば補助額が加算されて交付を受けられます。
- ・A要件(2万円加算):インターネットに接続可能な喜寿で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するものであること
- ・B要件(4万円加算):補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、a又はbに該当するものであること。(a.2025年度の目標基準値(JIS C 9220 年間給湯保温効率又は年間給湯効率(寒冷地含む))+0.2以上の性能値を有するもの、又は、b.おひさまエコキュート)
どちらの要件も該当するエコキュートの場合、補助額が5万円加算されて13万円を受け取ることができます。
自治体の補助金
自治体によっては、オール電化住宅にすることで補助金や助成金を受け取れる場合もあります。
例えば、香川県では「令和6年度かがわスマートハウス促進事業補助金」という補助金制度があります。
この補助金では、ZEH住宅の新築、蓄電池の設置、V2Hの設置、断熱改修工事を実施することで、その工事にかかった費用の一部を補助してくれます。
補助金額は、ZEH住宅の新築には20万円、蓄電池は10万円を上限として補助対象経費の1/10、V2Hの設置は10万円、断熱改修工事をした場合には20万円です。
受付期間は令和6年4月22日〜令和7年3月31日までですが、予算上限があるためこれよりも前に受付終了になる可能性もあります。
前年度の令和5年度では、令和5年6月16日にはすでに終了しているため、この補助金を利用した方は早めに準備を進めて予約受付を済ませておくことをおすすめします。
また、香川県高松市も、「高松市スマートハウス等普及促進補助制度」があり、住宅用太陽光発電システムと連携する蓄電池やV2H、HEMSなどの設置によって補助金の交付が受けられます。
補助額は蓄電池やV2Hの設置で6万円、HEMSの導入で2万円です。
省エネ住宅促進のため、自治体でも様々な補助金制度が出ているので、制度を賢く使ってお得にオール電化住宅のリフォームを行いましょう。
オール電化住宅にするメリット
そもそも、オール電化住宅にすることでどんなメリットが得られるのかはご存知でしょうか。
オール電化住宅にすることで得られる7つのメリットについて解説します。
①光熱費を一本化できる
オール電化住宅にすることで、光熱費の管理を一本化することができます。
ガスと電気を併用する場合、それぞれ電気料金とガス料金が別々にかかりますが、電気で一本化されることで管理がしやすくなり、節約対策もしやすくなります。
②電気代を安くできる
オール電化住宅にすると、電気代を安くすることもできます。
エコキュートを導入すれば、深夜にお湯を沸かすため、深夜料金の安い電気料金プランを利用することで、電気を節約することが可能です。
また、太陽光発電や蓄電池も導入すれば、大幅に電気代の節約を実現できます。
③熱効率の良い設備を使える
エコキュートや温水式の床暖房はヒートポンプを活用した機器です。ヒートポンプは空気中の熱を集めてエネルギーとして利用する技術ですが、この技術はエネルギーを効率よく使えるため、省エネ設備でもあります。
また、IHクッキングヒーターも熱効率の良い設備です。
IHクッキングヒーターの上に置いた鍋の底に電流を発生させることで鍋底を熱くさせるので、直火のように無駄になる熱が少なくなります。
熱効率の良い設備を使うことで、無駄に電気を消費させずに調理をしたり、お湯を沸かしたりすることができます。
④火災・事故の心配が少ない
ガスコンロのように火を発生させないため、IHクッキングヒーターでの火災・事故の心配が少ないです。
消し忘れ防止機能がついたIHクッキングヒーターもついているので、小さい子供やご高齢の方と一緒に住む方には安心できる設備ではないでしょうか。
⑤災害時の備えになる
エコキュートは、貯湯タンクに水をためられるため、災害時に生活用水として使うことができます。また、太陽光発電システムと蓄電池があれば、停電時にも電気を使用することが可能です。このように、オール電化住宅にすることで、災害時にも備えられるというメリットがあります。
⑥省エネになる
太陽光発電、蓄電池、V2Hなども一緒に導入することで省エネ効果を高めることができます。ただ、より省エネを発揮させるには、住まいの断熱性能を上げて冷暖房効率を上げる必要もありますが、住宅の性能を上げることで省エネになるだけでなくより快適な住空間を作ることが可能です。
⑦火災保険の割引が受けられる可能性がある
オール電化住宅にリフォームすることで、保険会社によっては火災保険料が割引になる可能性があります。
ただ、割引の適用を受けるためにはオール電化住宅であることを証明する書類が必要になってきます。また、割引対象になるかどうかは保険会社によって異なるため、保険会社に確認をとってみましょう。
オール電化住宅で感じるデメリット
続いて、オール電化住宅でのデメリットについてみていきましょう。
メリットの多いオール電化住宅ですが、考えられる6つのデメリットがあるため、解説していきます。
①停電すると熱源が使えなくなる
停電すると熱源が使えなくなります。ガスを併用している住宅ならコンロでお湯を沸かしたり料理したりできますが、オール電化住宅では停電時にIHクッキングヒーターや給湯器を使用できません。そのため、災害時に備えてカセットコンロなどを用意しておく必要があります。
②調理器具を選ばなければならない
IHクッキングヒーターは、IHクッキンヒーター対応の調理器具でなければ使用できません。
また中華料理のように鍋をあおりながら調理する料理は、IHクッキングヒーターの性質上調理が難しいです。そのため、料理付きの人にはIHクッキングヒーターは物足りなく感じる可能性があります。
③設置費用が高い
IHクッキングヒーターやエコキュートはガスコンロやガス給湯器よりも高額です。
そのため、ガス併用住宅よりも設置にかかる初期費用が高くなりやすいというデメリットがあります。
ただ、オール電化住宅を導入することで、電気代を安くできるなどランニングコストを抑えられるというメリットがあるため、長期的に見るとオール電化住宅の方がお得ではあります。
④電気料金プランの見直しが必要
エコキュートは夜間にお湯を沸かすため、深夜帯に電気料金が安くなるプランへの見直しをする必要があります。
ただ、このプランに変更すると日中の電気料金が割高になってしまう可能性があるため、日中家にいることが多い方にとっては、電気代の節約が難しい場合もあるようです。
電気代を効率よく節約するためにも、自分たちの生活スタイルにどの電気料金プランが合っているのか見直しをしなければなりません。
⑤ガスに戻す場合の工事が大掛かりになる
オール電化住宅からガス併用住宅に戻す場合、配管工事やガス設備の設置などが必要になります。
そのため、かなり大掛かりな工事となり、工事費用も高くなってしまいます。
⑥マンションだとリフォームが難しい
マンションでは電気容量が建物全体で決まってます。
そのため、オール電化住宅にするためには建物全体の電気容量を増やす必要が出て、環立組合で協議してもらわなければなりません。
また、オール電化住宅に必要な配線や配管工事はマンションの共有部分に影響するため、戸建て住宅よりも様々な要素が絡んできてリフォームが難しいと言われています。
マンションにお住まいの方でオール電化住宅へのリフォームを希望する方は、業者と相談しながら慎重に進めていかなければなりません。
【リフォーム業者が教える】オール電化住宅へリフォームする際の注意点
最後に、オール電化住宅へリフォームする際の注意点について解説していきます。
注意すべきポイント5つについて、早速みていきましょう。
①電気料金プランは必ず見直しをすること
先にも述べましたが、電気料金プランは必ず見直しをしましょう。
自分たちの生活スタイルに合った電気料金プランにしなければ、うまく電気代の節約ができない可能性があります。
地域によってはガス代の方が圧倒的に安いところもあります。その場合、オール電化住宅にしたことで必ずしもお得というわけではないため、ガス代の基本料金も見直してみましょう。
②光熱費をより削減したいなら断熱リフォームの検討もしよう
光熱費をより削減したいなら断熱リフォームの検討もおすすめします。
家の断熱性能を上げることで、室内の熱が外へ逃げにくくなり、外気の影響を受けにくい高気密・高断熱住宅にすることができます。
高気密・高断熱住宅にすることで、冷暖房効率を上げることが可能です。
つまり冷暖房にかかる電気代を大幅に節約することができるのです。
より光熱費の節約を目指したいなら、断熱リフォームも考えてみてはいかがでしょうか。
③エコキュートは設置スペースとタンク容量の確認をすること
エコキュートはヒートポンプと貯湯タンクの2つを設置しなければなりません。
そのため、家の外に設置できるスペースがあるかどうかを確認しておく必要があります。
ちなみに、温かいお湯をすぐに給湯できるようにお風呂の近くに設置することが一般的です。
また、貯湯タンクの容量も確認しておきましょう。
家族や1日に使用するお湯の量に合わせたタンクを選ぶようにしてください。
タンクが小さければその分費用は抑えられますが、お湯切れなどを起こして使い勝手が悪くなったり、余計な電気代がかかる可能性があるため、適切な容量のタンクを選びましょう。
④配線工事が必要か確認すること
IHクッキングヒーターやエコキュートには200Vの電源が必要です。そのため、場合によっては電線から引き込む工事をしなければならず、その分の電気代が高くなる可能性があります。
200Vの配線が屋内の分電盤まできていれば、1万円程度で工事を済ませられますが、外から引き込む場合、5〜20万円程度かかることもあるようです。
リフォーム会社に見積もりをとってもらう際に配線チェックもしてもらうようにしましょう。
⑤業者選びは相見積もりをとって決めること
オール電化住宅のリフォームを行う際、初めから業者を1社に絞らず複数の業者から見積もりをとって、金額を比較しましょう。
金額を比較することで、リフォームにどのくらいの費用がかかるのか費用感がわかってきます。また、複数の業者と関わることでより優良な業者と巡り会える機会も増やすことが可能です。
誠実に対応してくれるのか、こちらの質問に的確な答えをしてくれるのかなど、業者と打ち合わせしながら自分と相性の良い業者を見極めましょう。
まとめ
オール電化住宅について解説しました。
オール電化住宅にリフォームすることはメリットが多いです。
また、補助金や助成金制度も利用できる可能性があるため、お得に工事ができる場合もあります。
これまで解説したことを参考に、オール電化住宅のリフォームを検討してみましょう。